遺品整理をやっていると、故人の色々な想い出が出てくるのですが
それは、必ずしも数多くの想い出ではなく、
たった一つの小さな遺品で、大きな想い出になることがあります。
若くしてご主人を亡くされた方からのご依頼で、
亡くなってから1年が経ったので、気持ちの区切りをつけるためにも
遺品整理を手伝ってほしい、というご依頼をいただきました。
このときは、通常のようにスタッフ数人で遺品整理をするのではなく、
私が細かく大切そうなものを探して行き、
形見になるかどうかを、お客様にご判断いただく、といった流れで
遺品整理・・・というよりは宝探しといった感じでの作業でした。
亡くなられたご主人は、なぜか写真が嫌いな方で、
ほとんど本人が写っている写真が無いので、
もし、あれば見つけてほしい、というご希望もお伺いしていたのですが、
いざ、遺品整理をさせていただくと、写真らしいものはほとんど無い状況。
あっても奥様が把握している携帯電話やデジカメで撮影した数少ない写真くらいだったのですが、
ご主人の名刺入れに、1枚だけ、上質紙でプリンター印刷されたような
小さな写真が入っていました。
「この写真、見覚えありますか?」
と、奥様にお見せすると、見る見る奥様の顔はくしゃくしゃになり、
目から涙が溢れてきました。
写真は、奥様の寝顔を写した写真・・・
ご主人は、自分の写真は嫌いでも
奥様の寝顔が一番大好きで、
持ち歩いていたのかもしれません。
※個人の特定を防ぐため、一部内容を変えてフィクションとして書いていますのでご容赦ください